タクシー会社のM&Aが注目される理由|株式会社アドライビング

AIが教えてくれる今、
話したい
コンサルタントがいる

We create places where business grows
into a new culture.
Adriving

タクシー会社のM&Aが注目される理由

タクシー会社のM&Aが注目される理由のアイキャッチ

今回は、newmo・日本交通などの事例から見るタクシー会社の業界再編について紹介します。

近年、タクシー業界ではM&Aや事業承継の動きが活発になっています。

背景には、ドライバー不足、経営者の高齢化、後継者不在、車両稼働率の低下、採用難、配車アプリへの対応、運行管理体制の強化など、タクシー会社特有の経営課題があります。

タクシー会社のM&Aは、単なる会社売買ではありません。

乗務員、車両、営業所、営業区域、法人契約、無線・配車基盤、運行管理体制などをどのように引き継ぐかが重要になります。

本記事では、タクシー会社のM&Aが増えている理由、実際の買収・グループ化事例、売買を検討する際の注意点について解説します。

タクシー会社のM&Aが増えている背景

タクシー業界でM&Aが増えている大きな理由は、後継者不足とドライバー不足です。

地方だけでなく都市部でも、経営者の高齢化が進み、親族や社内での承継が難しくなっている会社が増えています。

また、タクシー会社は車両を保有していても、乗務員が確保できなければ売上を作ることができません。

そのため、近年のM&Aでは、単純な車両台数だけでなく、以下のような要素が重視されます。

  • 乗務員数
  • 車両稼働率
  • 営業所の立地
  • 営業区域
  • 法人契約
  • 固定顧客
  • 無線配車の基盤
  • 配車アプリへの対応状況
  • 運行管理体制
  • 労務管理体制

特にタクシー業界では、許認可、点呼、運行管理、労務管理、事故対応などの実務が複雑です。

そのため、一般的なM&Aと比べても、タクシー業界の実務を理解した相手に相談することが重要です。

newmoによるタクシー会社M&A

近年、タクシー業界で特に注目されているのが、newmoによるタクシー会社のM&Aです。

newmoは、テクノロジーを活用した地域交通の維持・発展を掲げ、複数のタクシー会社をグループ化しています。

公開情報で確認できる主な事例として、以下があります。

岸交

newmoは2024年3月、大阪でタクシー事業を行う株式会社岸交に資本参加しました。

これにより、newmoはタクシー事業への本格参入を進めました。

未来都

newmoは2024年7月、大阪の老舗タクシー会社である株式会社未来都の経営権を取得しました。

未来都は大阪市域交通圏を中心に事業を展開するタクシー会社で、取得時点で606台の車両を保有していました。岸交40台と合わせて、newmoグループの保有タクシー車両数は646台となったと発表されています。

堺相互タクシー

2025年4月には、newmoグループ会社である未来都が、堺相互タクシー株式会社の全発行済株式を取得し、経営権を取得しました。

堺相互タクシーは堺市を中心に70年以上営業してきたタクシー会社です。この取得により、newmoグループの保有タクシー車両数は1,075台となり、大阪府内のタクシー事業者として3位の規模になったと発表されています。

京急タクシーグループ6社

2026年3月には、京急タクシーグループ6社の全株式がnewmoへ譲渡されることが発表されました。

対象会社は以下の6社です。

  • 京急交通株式会社
  • 京急横浜自動車株式会社
  • 京急文庫タクシー株式会社
  • 京急葉山交通株式会社
  • 京急中央交通株式会社
  • 京急三崎タクシー株式会社

京急タクシーグループ側の発表では、2026年3月31日をもってnewmoに全株式を譲渡し、2026年4月1日以降は「うみかぜ交通」として運営するとされています。

newmoの事例から分かるのは、タクシー会社の価値が「車両台数」だけではなく、「地域交通インフラ」「乗務員基盤」「営業区域」「採用力」「運行管理体制」へ広がっているという点です。

日本交通による春駒交通のグループ化事例

タクシー業界大手の日本交通も、グループ拡大を通じて事業基盤を強化しています。

代表的な事例のひとつが、春駒交通のグループ化です。

春駒交通は、東京・北区を拠点とするタクシー会社です。現在、春駒交通の公式サイトでは「日本交通グループの一員」として紹介されています。

春駒交通のように、既存のタクシー会社が大手グループに入ることで、以下のようなメリットが生まれます。

  • ブランド力の活用
  • 専用乗り場や配車基盤の活用
  • 法人契約・チケット需要への対応
  • 採用力の強化
  • 教育・研修体制の強化
  • 運行管理体制の整備

タクシー会社M&Aでは、車両や営業所を取得するだけでなく、乗務員、営業区域、配車基盤、法人契約、運行管理体制を引き継ぐことが重要です。

春駒交通の事例は、タクシー会社のグループ化が、単なる会社売買ではなく、営業基盤や雇用を維持しながら事業を発展させる選択肢になり得ることを示しています。

コンドルタクシーとロイヤルリムジングループの事例

東京・練馬を拠点とするコンドルタクシーも、タクシー業界再編を考えるうえで参考になる事例です。

コンドルタクシーは1951年創業のタクシー会社で、現在はロイヤルリムジングループの一員として運営されています。コンドルタクシー公式サイトでも、同社は「ロイヤルリムジングループの一員」と記載されています。

タクシー会社をグループ化するメリットは、既存の営業区域、乗務員、車両、営業所、法人契約、固定顧客などを引き継げる点にあります。

新規でタクシー事業を立ち上げるには、許認可、営業所、車両、乗務員、運行管理者、整備体制、配車体制など多くの準備が必要です。

そのため、既存タクシー会社のM&Aやグループ化は、事業拡大を目指す買い手にとって有効な手段になります。

一方で売り手側にとっても、後継者不在や採用難に直面している場合、大手グループや成長企業への譲渡によって、乗務員の雇用や地域交通を維持できる可能性があります。

タクシー会社M&Aで評価されやすいポイント

乗務員が確保できている

タクシー業界では、車両よりも乗務員の確保が重要です。

車両があっても、乗務員がいなければ売上は立ちません。

そのため、乗務員数、平均年齢、定着率、採用力は重要な評価ポイントです。

営業区域・営業所立地が良い

駅、病院、空港、繁華街、観光地、住宅地など、需要のある営業エリアを持つ会社は評価されやすくなります。

また、営業所や車庫の立地、土地建物の権利関係も重要です。

法人契約・固定顧客がある

法人契約、チケット利用、病院送迎、高齢者の固定利用などがある会社は、安定収益が期待できます。

アプリ配車が増えている一方で、電話配車や固定顧客の価値も依然として残っています。

運行管理体制が整っている

タクシー会社では、安全管理、点呼、労務管理、車両管理、事故対応などの運行管理体制が非常に重要です。

管理体制が整っている会社は、買収後の統合リスクが低く、買い手から見ても安心材料になります。

配車アプリやシステムに対応している

GO、S.RIDE、Uber Taxiなどの配車アプリ対応や、運行管理システムの導入状況も評価材料になります。

今後は、配車効率やデータ活用が収益性に直結する可能性があります。

専業M&A仲介会社に依頼する際の注意点

タクシー会社の売却を検討する場合、専業のM&A仲介会社に相談する選択肢もあります。

ただし、注意すべき点があります。

それは、仲介手数料が高額になりやすいことです。

M&A仲介会社では、成功報酬としてレーマン方式が採用されることが多く、さらに最低手数料が設定されているケースもあります。

中小企業庁も、中小M&Aガイドラインの中で、仲介者・FAの手数料について、レーマン方式の「基準となる価額」によって報酬額が大きく変動し得ること、最低手数料を設定する仲介者・FAが多いことを指摘しています。

そのため、譲渡金額が数千万円規模の中小タクシー会社の場合、売却金額に対して手数料負担が重くなることがあります。

たとえば、譲渡価格が数千万円規模であっても、最低報酬が数百万円から1,000万円以上に設定されている場合、オーナーの手残りに大きく影響します。

また、一般的なM&A仲介会社は幅広い業種を扱っているため、タクシー業界特有の事情に詳しいとは限りません。

タクシー会社のM&Aでは、財務内容だけでなく、以下のような業界特有の論点があります。

  • 乗務員の引き継ぎ
  • 運行管理者の体制
  • 車両台数と稼働率
  • 営業区域
  • 営業所・車庫
  • 無線・配車アプリ
  • 事故対応・保険
  • 労務管理
  • 許認可
  • 地域交通としての役割

これらを理解しないまま売却を進めると、適正な評価がされなかったり、買い手との交渉で不利になったりする可能性があります。

売却検討時に出やすい悩み

タクシー会社のM&Aでは、単に「高く売る」だけでなく、乗務員、顧客、地域交通、営業所、車両、運行管理体制をどのように引き継ぐかが重要です。

また、売却を検討している段階では、次のような悩みが出てきます。

  • 自社はいくらで売れる可能性があるのか
  • 今売るべきか、数年後が良いのか
  • 買い手候補はいるのか
  • 専業M&A仲介に依頼すべきか
  • 仲介手数料は妥当なのか
  • 会社を残す方法はあるのか
  • 一部事業譲渡は可能なのか
  • 従業員や乗務員の雇用は守れるのか

アドライビングでは、タクシー会社の経営、事業承継、売買に関するご相談を受け付けています。

専業M&A仲介会社に依頼する前の段階でも、まずは業界事情を踏まえた相談先としてご活用ください。

まとめ

タクシー業界では、後継者不足、ドライバー不足、採用難、配車アプリ対応、運行管理体制の強化を背景に、M&Aやグループ化が進んでいます。

実際に、newmoによる岸交、未来都、堺相互タクシー、京急タクシーグループ6社のグループ化、日本交通グループにおける春駒交通の事例、コンドルタクシーのロイヤルリムジングループ入りなど、業界再編の動きが見られます。

一方で、専業M&A仲介会社に依頼する場合は、仲介手数料が高額になりやすく、売却金額に対して手残りが少なくなる可能性もあります。

タクシー会社のM&Aでは、業界特有の事情を理解したうえで、慎重に進めることが重要です。

売却・買収・事業承継を検討している方は、まずはアドライビングへご相談ください。